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2015年7月24日 (金)

ギターを始めた初心者は譜面を読む練習が必要か? その4。

専門学校や個人レッスンで譜面を読む事を教えたりもしているのですが、それが本当に音楽を演奏する際に必要なのかどうなのか数回のブログで書いています。



過去リンク
ギターを始めた初心者は譜面を読む練習が必要か? その3。
ギターを始めた初心者は譜面を読む練習が必要か? その2。
ギターを始めた初心者は譜面を読む練習が必要か? その1。




今回は左脳、右脳の役割についてまず考えます。



文章で説明するよりもわかりやすいので、専門学校ではいくつかの漫画でも紹介しています。
それらの左脳、右脳での身体コントロールをテーマにしている作品をいくつかリストアップしておきます。


ピアノの森 特に1巻から6巻あたりがそのテーマです。


はじめの一歩 高村ブライアンホーク戦 30−37巻あたりです。






左脳は考えて分析する領域、右脳は感覚として捉える領域だと捉えて、以下のような事を最近はよく教えています。



音楽を演奏する場合、はじめに譜面を読むか、音源を聴いて譜面を介在させずに演奏するかに分けられます。もちろんフリーインプロビゼーションのように譜面が無い音楽もありますが、このトピックでは決まられたコード進行、メロディー、構成を持った曲を演奏する事にフォーカスします。


譜面を介在させずに全てのパートを口頭で伝えてリハーサルを数多く繰り返して、メンバーが曲としてガッチリ把握するような状況を作れれば良いのですが、いつもそのように余裕のある状況とはいかないので、その時間を短縮する為に譜面を使っています。




演奏に譜面を介在させるメリット/デメリットはいままで述べたとおりです。
詳しくは先にあげたリンクを読んでください。




今回は譜面を読んで演奏する作業を左脳、右脳でどのように扱うかについて書きます。


譜面を読む場合、視覚からの情報を楽器で再現する時点で、左脳領域のスイッチがオンになると考えます。
ギターなら今見ている音符を何弦の何フレットでどんなリズムで弾くかを考えるます。
その後正しいリズムで正しい音程を弾けるように練習します。


手探りの状態から徐々にそれができるようになった時点で、譜面が読めたと考えてしまいがちです。
しかしそこで作業を終了するのではなく、右脳の感覚領域にその情報を落とし込む作業をしたい。



例えばAセクションのメロディーがBセクションにどのようにつながっているのか。
その為にBセクションに向けて演奏は派手に盛り上がっていくのか。
または一旦静寂な場面を迎える前にその効果を最大限に活かす為にドカっと持ち上げるのか。
または静かにBセクションに移行していくのか。
様々な展開が想定される。


それらの演奏表現のうちの幾つかは譜面上の音楽用語で表される。
クレッシェンド(徐々に大きくなる)やリタルダンド(徐々にゆっくりになる)などです。
しかしそれらの指示に従うだけでは足りないように思われます。




なぜその場面でリタルダンドするのか。
それが次の展開の何を活かす為に行われるのか。
ここで少しずつクレッシェンドするのは、何の為なのか。
そのクレッシェンドが後にどう活きるのか。


それらをしっかり把握していないと、ただ書かれたまま、感情表現をシミュレートして正確に演奏しているだけになってしまうように思うのです。




大切なのは、その感情表現が何を意図して行われているのかをイメージすることなのではないかと。


その感情表現を自分のテクニックとしてどう演奏するのか、全くの単純作業である読譜とのギャップを少しずつ確実に埋めていく作業が本来必要なリーディングなのだと考えます。


例えばある作曲家が、「ガンガン勢いよく弾いてくれ」っていって譜面を渡してくれたものを見る時について何をどうすれば良いのか書いてみます。
その作曲家の意図するガンガン勢いよくというのが何を言っているのかまず考えなければいけません。
ピッキングを強くするのか、メトロノームタイムの少し前で弾くのか、音量をあげるのか、またはそれらを組み合わせるのか。
その意図をきっちりイメージして、その結果ピッキングはこれだけのチカラで、タイムはほんの少し前気味で、と数値化して把握したあと、それが自然にできるように練習する。
感覚として落とし込むようにするのです。



これらを繰り返していくうちに、その作曲家が別の場面で「ガンガン勢いよく」って言ったときに、そのピッキングやタイムや音量を数値で考えずに感覚的にイメージできるようになったら素晴らしいなあと。



上の例は限られた場面の例ですが、左脳で取り入れた情報をいかに右脳の感覚として処理するか、その左脳から右脳への移行を素早く正確に行えるようにするのがリーディングの訓練なのではないかと。


なので、専門学校でもただ正しく音符をなぞる為のリーディングはしないようにしています。
そこまでなら、譜面と正解の演奏が録音された音源を準備すれば自宅でできます。
その先にあるモノをイメージして譜面を読むことを考えたいなあと。


その左脳→右脳移行システムをより詳しく考える場合、譜面を譜面台においてメトロノームに合わせて1小節目から順番に弾いていくよりも効果的な練習があるように思い、ここ数年の間様々なレッスンのシチュエーションでやってみました。
それはどのような練習なのか、次の記事で考えてみます

関連リンク
スケールを速く弾ける事は大切か。1


スケールを速く弾ける事は大切か。2


ソロをとるためにスケールを速く弾ける事は大切か。












以下は上記の内容にリンクした内容を含むいくつかの教材です。



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